舟ノ川・七面谷〜カラハツソウ谷 報告:小山伏

 キンゴが、来年イブキ嵒谷に行こうと言うので、下山路を見ておくかと、カラハツソウ谷を溯って林道を戻って来ようと気楽に計画。
 地図を見ると、七面谷の方は壁は立っているが平流やし、3時間ほどで行けるやろ。Taqさんと朝5時に家を出る。
 スーパーで、お茶と昼ご飯と、ビールとハタハタの干物とチゲ鍋と、酒は既にザックに入っている。気分は完全、宴会モード(^。^)

 6時半に大塔村の星の国でobaさんと待ち合わせ。
 と、隣の車から見知った顔が・・・
 「加納さんやないの!いくらメールしても連絡取れないのに、こんな所で会うかぁ〜」
 奥さんと、釈迦ケ岳登山だとか。一緒に行く?と聞くが、沢靴を持ってないので残念。
 ニュージーランド行きの打ち合わせの日を約束して分かれる。

 大塔村役場から高野辻を越えて篠原に降り、林道が七面谷を渡る所まで入る。
 谷の入り口に古い看板があり、「此の渓谷の上流は峻険しく昔から地獄谷『入ったら出られない谷』と云う」と記し、三百米先の『滑ら』から先は進入禁止と書いてある。遭難しても二次遭難の危険があるので捜索しないとも・・・え、そんなとこなん?
 準備して、8時半入谷。

----------------------------------------------------------------
【日  時】2004年10月24日
【天  気】晴たり曇ったり
【メンバー】Taq、oba、小山伏
【地  図】辻堂、釈迦ケ岳
------------------------------------------------------------

【七面谷溯行】

 谷に入るが、川原の石が安定してなくて痛いので、戻って右岸の道を行く。
 対岸に6mを掛けて支流が入っている。
 道が終わる所が綺麗な岩盤になって、淵と瀬が流れている。ここが看板にあった『滑ら』だろう。

 左の壁から20mと30mの滝が並んで落ちている。谷はV字谷で、底に沈んでいる小石の浅い所を右へ左へ膝丈位で渡渉を繰り返しながら行く。
 谷に1mで、右の壁に多段5m、10mと掛け、左の壁から10mが2本落ちる先がゴルジュになっていた。

 釜の先に1mで、その奥右手から6m程が勢い良く噴出している。
 ま、見に行ける所まで行って見ようと左岸の岩棚を辿って行くと、1mの上まで辿れる。落ち口を塞いでいる流木に降りて、太腿丈くらい浸かって右岸の浅瀬に渡れば6mの下までは行けそうだ。2m程降りれば良いのだが、手がかりがないなぁ〜、飛んで降りたら戻って来れないし、と目を上げると、残置が。よほど昔のか、ハーケンの輪が痩せて切れかけている。ま、2mやし(^^ゞ
 シュリンゲを掛けて降りるが、かなり流れが速い。脹脛の深さでも足がすくわれそうになるのに、太腿で大丈夫かな。さんざ迷って流木を支えにしてじわっと足を浸ける。何とか立てそうだ。あとは、えいやぁ〜、2歩で壁にしがみついて浅瀬に渡った。

 ゴルジュの中には飛沫が舞って、堂々と6mが噴出している。
 右手の岩棚から樹林にも逃げれる。岩棚を辿って落ち口の側に行くと、まだ新しいリングボルトが1本。ラッキ〜(^^)v
 OKサインを出すと、Taqさんはやって来たがobaさんは巻いて行った。信用されとらんなぁ〜(~_~;)
リングでビレーを取って体を持ち上げようとするが、も一つ体が固いなぁ〜(^^ゞ結局、廻り込んで来たobaさんに、シュリンゲでヘルプぅ〜(~_~;)
 でも、やったぁ〜(^^)vやっぱ、ゴルジュ突破は興奮するなぁ〜

 谷は左に曲って多条1m、50cmと、何を書いとんねんと言われそうだが、なにしろ水勢が強い。あと20cm水量が増したら、この谷の入り口に立つ事も出来ないだろう。

 左に壁から10mで平流になり、左に20mの嵒を見上げ、大岩の先の1mの右には30mの嵒を見上げる。
 左の壁から10m2本が落ち大岩を越えると、右に多条100m程のスラブが入っている。
谷中に滝はないが、壁からの滝はすごいのばっかりや、と言っていると、谷が右にカーブし左の壁に10mが落ちる先の方で大滝が飛沫を撒き散らしていた(^。^)

 右手に少し入り込んだ所から滝が左手から落ちているのだが、そこまで行って驚いた。
 50m程の壁の下部が大きく抉られて、50畳程の巨大な岩屋と言うか、洞窟になっている。
 この滝が抉ったのかと、水量の多い時のこの谷の凄まじさを思えば空恐ろしくなる。
 滝は隠れた5mから10mが堂々と噴出し、下の岩棚で10mナメ滝となる、3段25m。大迫力の滝である。
 これが、桶側ノ滝と言うらしい。(看板は立っていない(^。^)

 さて、どないしょ。岩屋の天井に抜け穴でも空いてないかなぁ〜と言って見るが、天啓は降りて来なかった。
 左の壁しかない。樹林まで行けば何かあるやろと、見に行くと登れそうだ。
 10mほど登ると踏み跡がある。Taqさんに先に行ってもらってobaさんをビレーする。ザイルを片付けて登って行くとTaqさん等が固まっている。「道がない!」
 踏み跡が無くなって、正面の壁は被り気味、右も壁が立ってバンドもその先で切れている。あとは左に張り出した岩の端を回り込んで見るだけだが、フリーで行くだけの度胸がない(~_~;)
 Taqさんにビレーを取ってもらって、回り込むと手がかりの多い前傾の壁が上の垂壁との間の樹林まで続いている。登り慣れていないobaさんも居るので、平らなホールドを辿って左上。ルンゼが見える所で折り返して右上して、垂壁の下の木に辿りついた。30mザイルがいっぱいだ。
 壁の間の一箇所落ちている薄いバンドを辿って壁の端を回り込むと笹藪に逃げ込めた。
 そこからはっきりした踏み跡を落ち口に降りていく。途中で、頭蓋骨のついた立派な鹿の角を拾い、落ち口まで持って降りるが、持って歩いたら自分らがこうなりそうなので(~_~;)置いて行くことにする。

 その先はナメが続くが奔流である。もう少しでも水量が多ければ、謝っても許してもらえないだろう。
 右の壁から5mスラブ、水の少ない多段20mと入り、壁が低くなる。
 1m、淵、2条1mで、左の壁から2条8mが落ちていると見えたのが正面に回りこむと、その上に5m、5m、10m、10m、更に高さは定かではないが5m、5mと滝が連なってルンゼを登っている。
本谷は、2条1m、1m奔流、1mで正面にピナクルが聳えているのが見えた。
1m、走る瀬、2mで、イブキ嵒谷出合いにやっと着いた。
(ここまで、5時間)

 【カラハツソウ谷溯行】

 イブキ嵒谷の入り口には何もない。
 カラハツソウ谷の入り口はゴルジュになって、淵の正面は壁で左から奔流が流れ込んでいる。
 淵を回りこむと、左から5mナメが走り右に曲った5mナメが続き、奔流が更に左に回りこんでいる。
 谷床はつるつるのU字溝、小石の欠片もない。流れの幅は2mもないが、近づく事もためらわれる、くねくね曲ったウォータースライダーだ。途中で四つん這いにでもなれば出合いまですっ飛ばされるのは必至だ。

 「食料も酒もあるし、ビバークでもええか」と小山伏が言うと「私には患者が待っている!」とTaqさん「私が帰らなければ、仕事が始まらない!」とobaさん「闇下でも帰る!」(~_~;)
 まだ、林道と交わるところまでは同じぐらいの距離がある。ここから、引き返すのは無理だ。

 さて、どないしょと奔流を睨んでいると、Taqさんが私の背中の方を指差す。
 振り返ると、太いロープが壁の上から垂れ下がっている。
 え〜、ここ登れってかぁ〜、ま、他にないわなぁ〜、そっかぁ〜、皆927ピーク越えてここをこなしてるのか、100m以上あるやないか(ーー;)

 「『地獄谷』の意味が分かった!」とTaqさん。正に、行くも地獄、帰るも地獄、行ったら帰れない地獄谷なのだ。

 が、取り付いて見ると、今まで幾人もの人が通ったのであろう、しっかりした道になっておりました。
途中でカラハツソウ谷を見下ろすと、更にくねって奔流をほとばしらせていた。誰や、水道栓を閉め忘れたのは!
 せめて、後ろのタワへの巻き道でもないかとの期待も空しく927ピークまで登り詰めた。
 左又イブキク嵒が正面、絶景なんだけどなあ〜(~_~;)
 カラハツソウ谷の方を見ると、対岸の尾根にガレが筋を引き、その天辺に林道が通っている。ここよりまだかなり上だ。
 正面の尾根の先まで回り込まなければ林道には登れないだろう。
 2時間ほどで林道に辿り着かなければ日のあるうちに車には戻れない。
 悪場が一箇所でもあれば終わりやなぁ〜。あ〜ああ、もう、宴会がでけへん(~_~;)
 谷に降りずに尾根の端近くまでトラバースして時間を稼ぐしかない。

 コルに降りると踏み跡は綺麗に尾根に登っていた。
 しかし、レベルにも薄いながら踏み跡がある。
 ルンゼを3っつ渡って、壁で一箇所降りただけで、谷が近づいて来た所のルンゼを降りる。尾根の端はもう少しだ。

 谷は大岩のゴーロで、2つ岩を越えると、右にゴーロの広く傾斜の緩い支流が入っていた。地図を広げると、980準点だ。あ、これで帰れる(^。^)
(ここまで、2時間)

 支流を溯って、堰堤を二つ越えて林道に登り着いた。左手の壁に20m以上の滝が落ちている。なんちゅう谷や。
 (ここまで、15分)

 お昼ご飯の残りを3人で分けて、缶ビールで乾杯(^O^)/U
 「あ〜、おもろかった(^。^)」って言うたらあかんのよなぁ〜。考えたらこの3人、「沢雪山歩」の事故対策委員やないか。くれぐれも、計画は余裕を持って立てて欲しいものだ(^^ゞ

 【下山】

 夕暮れに輝く明星岳、イブキ嵒の壁を眺めながら林道を行く。927ピークを見下ろすと壁の岩峰ではないか。よう、登ったもんや(^。^)
 七面山登山口を過ぎ、支流に掛かる大滝で靴をあらって、5時過ぎに車に帰った。
(ここまで、1時間20分)
 着替えをしている内に日が暮れ、闇下寸前であった事を知らされる(^^ゞ

【後記】

 帰って、昔の記録を見ると、イブキ嵒の出合まで2時間ほどで行っている。
 写真撮影会をやめて、ゴルジュで遊ばないで、桶川滝の巻きでザイルを出さなければ、2時間は短縮できるか。それでも、3時間かかるなぁ〜
 下流の川原の状態を見れば、水量が多いとも思えない。いずれにしろ、泳げるような谷ではないので、思いっきり干上がった時を狙うしかないか(~_~;)
 興味は、イブキ嵒よりカラハツソウ谷入り口のゴルジュに移っている小山伏でありました。


      


ウィンドウを閉じる