奥高野・十津川・八木尾谷 報告:BAKU

 今年、2回目の谷泊焚き火付沢登りに行ってきました。
行き先は今年は元旦早々から出かけた南紀方面。この時は内鹿野谷を遡行したんですがお正月とは思えないくらい暖かかった。
 それで今回も少しでも暖かい所と思い内鹿野谷よりも少し北の八木尾谷に決定。
 やはりこの時期迄は谷で泊まろうと思えば南紀に限りますね〜。奈良県と和歌山県境の広〜い熊野川が見え出す辺りから空気が入れ替わった感じで暖かい。

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【日  時】 2001年4月14日〜15日(13日夜発)
【場  所】 十津川・八木尾谷
【天  気】 快晴  
【地  図】 発心門、伏拝
【メンバー】 小山伏、BAKU
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 金曜夜10時前に小山伏さんを迎えに寄り前夜宴会予定の風屋ダムを目指して一気に南下。日付変わった頃に到着。いつもの様に小一時間飲んで食べて体力の消耗しない内に就寝。ダムを7時過ぎに出発し八木尾谷出合迄約1時間。

 用意して歩き出しが8時半。
 最初は水の全くないごろごろ転がった石の中を歩く。これが又歩きにくい。先日買った沢靴がローカットのせいだ。下手をすると足首がくねりそうになる。沢では最低限ミッドカットの靴が必要だ。でも今日はこれしか持って来てないので足の置き場に気を付けて歩き出す。
 出合より約1時間いい加減に飽きてくる河原歩き。鉄の水門、堰堤3つ越す。
 これを過ぎれば沢らしくなってきた。
 最初の淵は三方壁に囲まれ滝に取り付くには腰まで濡れる覚悟無しでは行けない。
 できれば最初からは濡れたくないので左岸を巻きホッとしてたら次の8mも釜がかなり深そう。今度は泳ぎ無しでは取り付けない。まだ濡れたくないので右岸を巻き上がる。巻いて登るのは良いけれど簡単に河原には下りれない(^^ゞ
 2人持って来たシュリンゲを全部つないでそれをつたってようやくクリヤー。ホッ。

 この辺りでなんかこの谷いつもの感じと違うなぁって気づく。
 どこも通過するのにすんなりと行けずまるでパズルのようにここからかな〜?とかあちらからかな〜?って考えないと進めない。
 次から次へと出てくる滝は泳いで取り付けば直登できるんだろうがやっぱり濡れるのを嫌がってるのでどうしても逃げてしまう。
 逃げたら逃げる程やっかいで難しい。いつも以上に全身を駆使して突破しなきゃ前へ進めない。高度計を見ても時間ばかり経つけれど一向に高度が稼げていない。
 一泊の荷物担いでいるのでどうも足取りが重いし移動の際バランスが悪い。
 しばらく進むと谷は廊下状になり取り付けば登れそうな滝が我々を迎えてくれているんだがそのそばをへつって逃げたり高巻きしてりして前進する。
 しかし次にあらわれた6mの滝で詰まってしまい左岸を巻き次の2本続けての滝も過ぎた辺りで強引にもシュリンゲつなぎあわせて河床に下りた。

 少しは小滝が現れラッキーと思うのもつかの間次の6mの滝も登れないので左岸を登り今度は下りようと思ってもシュリンゲでは全く使い物にならないので仕方なくザイルのお世話になる。
 久しぶりの懸垂下降でちょっと緊張するが難なくクリヤー。
 下降点直ぐ前に15mの立派な滝が立ちはだかっている。
 これどないすんのんと思っていたら小山伏さんは右岸をスルスルと登って行ってしまった。後をついて登ったら割と簡単であった。

 この立派な滝の滝口に立つと右岸一杯に流れてきた水は滝口の岩がトユ状に長細く割れているので左岸まで持って行かれそこから一気に落下しているのが分かった。これぞ自然の造形美!!

 進んでも進んでも次から次へと滝ばっかり。
 これって嬉しいのか辛いのか?

 何しろ今日はモチベーションが上がらず幾たびか休憩取りながら30分ほど遡行しただろうか?
 問題のドボンしたゴルジュがあらわれた。

 この淵を突破するには今まで嫌がっていたけれど水の中に入らないと無理。すでに小山伏さんは諦めて(?)左岸を足場を慎重に探りながら腰まで水に浸かって遡行している。私と言えばこの時は膝までしか濡れていなかったのでこれを嫌って右岸の取り付けそうな所をひやひやしながら2,3歩無理して行ったけれどその先、手のホールドが無い。足は足元を見ても岩がツルツルして体重掛けられない。
 すでに気持ちよくトレーナーをおへその辺りまで浸かりながら進んでいる小山伏さんは「そんなとこ行ってもいかれへんでぇ〜」っと滑って落っこちてくるのを望んでいるかのように下から眺めている。
でも落ち着いて何か無いかって探しているとさびた残置ハーケンがあった。バランス取り左手で残置をつかみもう一歩進んだが次の一歩進もうとしても今度はホントに手も足もない〜(; ;)ホロホロ
“こりゃまずい”って戻ろうとしたらそのまんま足を滑らし1.5m程下の流れに体を持って行かれてしまった。

 一瞬、あちゃと思ったと同時になるべく安全な状態でドボンしようと体勢を取り直し何の傷害もなく首までの着水。
 その瞬間冷た〜い水が容赦なく入ってきて今まで濡れずに今晩のテン場まで行こうと努力していたのが水の泡。

 一応防水はしているがザックの中の携帯電話が気になる。

 ここまで濡れたらもう開き直るしかない。
 こんな瞬時に濡れてしまうのなら最初から水嫌がらんと濡れまっくったのに〜。

 高度計を見ても相変わらず高度が稼げていない。登り開始が80mで今まだ500弱。でももうすぐ二股に出るだろう高度で少し気分が楽になる。

 次に15mと10mの連爆があらわれた。ここの突破もなかなか手強い(O_O)
 15mの大滝は左岸を高巻く。少しかぶり気味の岩壁で岩がもろい。
 先行で小山伏さんが試みるがザックの重みで体が振られ苦労している。
 無理に行っても何とかなるだろうが下手をすると滝壺まで一直線。

 行きかけていたがやばいので戻ってきて今度は空身で挑戦。空身だと幸い前に遡行した人が残していってくれたお助けロープのお世話になり難なくクリヤー。
 その上でザイルで先に自分のザックを引っ張り上げその後私はザイルで確保して貰って滝口に上がった。

 そこから数分で二股に到着。(14:20) 昔の報告のタイムから比べると2時間遅れ(^^ゞ実に出発してから約6時間。えらい時間が掛かったもんだ。
 夏なら泳いで突破できる淵でも濡れたくないので巻けるとこは巻きまくったのでこんなに時間消費したんだろう。

 ここで食べ物を口にしてしばらく休憩。この二股は広く明るくテン場には最高。
 でも明くる日の行動時間も考慮するのと少し宴会するのにも時間が早いと言うことで14:40にもう少し先に進む事にする。

 予定通り左股に入る。

 実は私の体調はこの時には疲労が激しくなってあとどれくらい歩けるか自信がない程まいっていた。それ以上にこの先に適当なテン場があるだろうかって言うのが心配であった。
 でもぼちぼちなら歩けそうだったのでもう少し先に進む事にした。でもしんどい。何度も座り込んで休憩。

 今日の小山伏さんは元気だ。どんどん進んでいって取り残されてしまう。疲労のせいか何でも無いところでも詰まってしまう。
 次の一歩が出せれば脱出できるのに踏み込む自信がない。
 足に力はいらず踏み込めないので余計にずるずる滑ってしまう。ずっと先の方から心配してこちらを見ている。
 どうしても抜け出せないので先に行っていたのに戻ってきてもらいシュリンゲのお世話で助かった。これが無ければ2度目のドボン(..;)!!
 この時ドボンしてたらそこそこ高度があったので怖いと言うよりは危険。
 なんとかごまかしながら歩いていてもどんどんと疲労感が高まってくる。

 「もうテント張れるとこ何処でもいいから見つかったらそこでお願い」って頼む。
 でもゴルジュが迫ってきて一張りのテン場もなさそう。もうちょっと思いゆっくりゆっくり遡行していたらなっ、何と「行く手の右側に少しばかりの高台がある」って教えてくれた。

 よかったぁ(^^)
 やっと休める〜(^^)
 時計を見たら標高550m、15:30であった。

 たぶん、このまま奥の二股までテン場が無かったら途中でぶっ倒れていただろう。

 ザックを下ろし、しばし休憩したら急に元気になってきた。
 今晩発の沢部隊の事が気になって電話してみる。
 す、凄い!!こんな山中でもアンテナ3本立っている。
 最初はキンゴさんに。でもこの時彼の電話は留守電になっていた。
 次にたこやきさん。4時過ぎだったので仕事中に迷惑かな?って思いながらも番号押していた。出た出た。相変わらず「もしもし」って元気な声。
 「私らも今晩はやい目に出て入之波温泉近くの魚釣り公園で宴会すんの」って嬉しそう。「お互い気を付けて遊ぼうね」って二言三言喋って話は終わった。
 この間に小山伏さんはテントの設営に掛かかりながら数メートル下の河原での宴会や焚き火の用意をしている。相変わらず元気や。
 焚き火用の薪はなんぼでもある。5m位の流木をノコギリで四つ切りにして丸太を十数本ゲットした。
木は乾燥しているのでよく燃える燃える燃える(^^)
 今回も食当を小山伏さんにお任せしていたのでビールで乾杯してお鍋の出来上がってくる迄の間をみりん干しを焼きながらちびりちびり。

 う、うまい〜。

 この都会の喧騒から遮断されまるで時間が止まっているかのように感じ取れるこのボーっとした時間がたまらなく心地良い。
 美味しいお鍋も二人で平らげ、うだうだ話をしている内に日が暮れて空を見上げると☆が夜空一面に輝いていた。
「明日もええ天気になって楽しい遡行できたらええのにな〜」って言いながら焚き火の炎をじっと見つめていた。

 やっぱし焚き火は最高や!!

 宴会し始めて2時間余り。それでもまだ7時過ぎやね。
って言いなから酔いが回ってきていい気分。

 そうこうしていると何か焦げ臭い(..;)

 焚き火の際に今日履いていた靴下を乾かそうと無造作に置いた為、乾く前に燃えている〜(O.;)
 燃えて溶けて指が入らない(^_^;
 真横に買ったばかりの沢靴も並べて乾かしていたので慌てて待避させた。

 持ってきたビールを全部飲み干し、睡魔が襲いだし船をこぎ出す始末。
 小山伏さんも疲れたのか居眠りしている。
 もうお酒無いのかなって水筒持ったら半分くらい残っていた。

 やはり疲れていたのは私だけじゃなかったのだぁ〜。

 焚き火用の太い木の上に全身身を任すように寝転がってうつらうつら寝ていたようだ。
 こんな寝方してても疲れ取れないのでお開きとなって7時半過ぎだけれどシュラフにもぐり込んだ。

 次の日、6時前まで思いっ切り熟睡してテントの窓から空を見上げた。

 雲一つ無い上天気。最高に清々しいいい気分。寒くない。
 でもおっちゃんはまだ寝ている〜。
 焚き火をもう一度燃やしコンロに火を付け朝食の準備。適当に味付けして「ご飯できたでぇ〜」っと起こしに行く。珍しくすんなりと起きあがった。

 ゆっくりと食事をして8時にテン場を後にした。

 昨日とうって変わって調子がいい。
 昨日の様な嫌らしい滝も数えるほどしかなく快適に遡行できる。膝まで浸かっての楽しいヘツリが続く。今日はもう帰るだけなのでドボンも怖くない(^_^;
 次第に勾配も強くなりどんどんと高度が稼げる。
 テン場から約2時間半、奥の二股も過ぎ左岸からの枝谷を見送ると八木尾谷もぐんと水量が減ってくる。
急ながれ場を苦労して登っていると水流は岩屑の中に消えてしまった。八木尾谷の源流である。
その後数分のアルバイトでブナの木平より一段下の赤いテープのある登山道にひょっこり出た。
二人で顔を見ながら「お互いブナの木平まで登る元気ないね」って顔をしていたので今度の宿題にした。
 登山道を左に取り数分で果無山脈稜線上のブナの木平から派生している道と合流しその地点から左に下っている高速道路みたいな素晴らしい道を一気に下る。
 途中下の集落から「ブナの木平迄ピストンします」って言う男女10名ほどのパーティと行き違った。その内の1人の女性に「何処から来たんですか」って尋ねられ「八木尾谷遡行してきたんです」っと答えると「す、すごいですね〜」ってビックリされた。大概沢の格好で一般の登山者とすれ違うとこの様にビックリされる。
 この言葉と瞬間がたまらなく好きなんです。って思うのは私だけだろうか?

 下山途中、百前森山のピークを踏み500m手前の尾根を下りその先も「八木尾」って書いてある小さな看板に従ってどんどん下って行くと車のデポしてある八木尾集落のど真ん中に到着した。

 13:00過ぎ無事下山。

 しんどかったけれど楽しかった。
 思い出深い沢登り体験の一つで決して忘れることはないだろう。


      


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