大台ヶ原:西ノ滝 報告:あいかわ
大台ヶ原西ノ滝のクライミングの記録です。
各ピッチの難易度は…比較基準をあまり持たない僕にはわからん〜(^^ゞ特に岩場のグレードは。
体感として、フリーで登ったところは5.9、5.8かそれ以下。せいぜい5.10Aくらいだと思われる。
ただし残置は少なく、プロテクションもビレイ点もほとんど自作のため、ギアは結構大量に使った。
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【日程】2004年7月24日前夜発日帰り
【場所】西ノ滝
【天気】晴れのち曇り最後は土砂降り〜
【地図】2万五千分の1「大台ケ原山」…といいつつ今回は山と高原地図のみ
【メンバー】あいかわ、Clif
【クライミング装備】
10.5mm×50m(メインロープ)
8mm×50m(サブ 結局今回は使わず)
ヘルメット/ハンマー/ハーネス各自
スリング 各自10本くらい?
カラビナ 環付き、なし合わせて50くらいあったかな?
キャメロット(0.5〜3.5)1セットものによっては2つ、+小サイズのエイリアン少々
ナッツ、ヘックスを一通り
ハーケン ナイフブレード〜アングルまで10本くらいあったかな?
あぶみ各自2本
アッセンション、ロープマン各1(使わず)
ボルト類(使わず)
シューズはClifさんは沢靴、あいかわは5.10のウォーターテニーというラバーソールのウォーターシューズを使用
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・アプローチ
5時過ぎに大台ケ原の駐車場到着。ギアの取捨選択をして、6時ちょっと前に出発した。
滝見尾根ルートは、僕は2週連続、Clifさんにいたっては3週連続とあって、すっかり慣れたものである。今回本チャンの初リードをすることになっているので、少しでも登る時間を増やすべく黙々と歩く。途中、滝を展望できるところがあるが、上段の滝の右側の流れはほとんど涸れているようだ。よしよし、条件は恵まれてる。シオカラ谷には1時間ほどで到着してしまった。
・1P(あいかわリード)
さっそく川原で登攀用具を身につける。
はじめ何ピッチかはトラバース気味に斜上していく。支点工作があるかないかの違いで、危険度はトップもフォローも一緒だ。そういうわけでさっそくトップで登らせてもらう
僕にとっての本チャン岩場での初リードだ。
一般の岩場と違って、情報がほとんどない。滝の右側から取り付くようだが、最初に取り付いたクラックはかなり悪く、敗退。
さらに右のほうに移動して取り付き、結局登攀開始は7:30。ここからだと、滝はまだかなり遠い。
スタンスもホールドも十分にあるので、クライミングとしては怖さはない。ただ、ヤブい。それもトゲトゲのイバラのヤブで最悪である。
ヤブをかき分けつつ立ち木でランニングを取り、最後の少し怖いトラバース前にハーケンを一発打ってフェースに抜け、少し登ったところのクラックを利用してビレイ点とした。
・2P(Clifさんリード)
パッと見、快適なフェース沿の傾斜の変わり目沿いに登っていくルートが楽しそうだ。が、よく目で追うとちょっと登りすぎ。さらに先のほうでルートに沿ったクラックもなくなり進退窮まりそうな感じである。
そういうわけでClifさんは少し下って再びヤブにもぐりこんでいく。
相手の状況はさっぱり見えない。
おまけにロープの流れがかなり悪い。
ホイッスル&大声&ロープの引っ張りあい?を併用して連絡を取り合うも果たして、ビレイを解除していいのか?にはかなり気を使った。次回はホイッスルを各自持ってしっかり合図を打ち合わせて行動するようにしよう。
さて、自分の番。
このようなヤブルートでは、フォローのほうがいやおう無しにロープの通っているところを登らざるを得ないのでイヤかも知れない。あまりにトゲトゲが痛いところで、ナイフで周辺のイバラを伐採してしまった(^^ゞ
・3P(あいかわリード)
引き続きのトラバースルートだ。
一箇所やばそうな場所の手前でどうにもランニングが取れず困るが、深々と叩き込んだ残置ハーケンを発見。利用させていただく。
そのままロープを伸ばしていくと、なんとリングボルト2本のビレイ点?があった。これは以前に呼んだレポートにあった、本来の1P目のビレイ点かな…。すると登り口をだいぶ損したかもしれない。リングボルトはあまり信用できなそうなので、追加でキャメロッットで支点を取る。
下を見ると、シオカラ谷を遡行しているパーティが見えた。見物を決め込んだらしく、直下のあたりで大休止に入ったようだ。
ギャラリーがいるのはうれしいが(^^) 無様なまねはできんなぁ。
・4P(Clifさんリード)
ここも同じようなヤブトラバース。
このピッチの終了点でようやく滝を正面に見据えることができた。
4P終了点はまだ高度感はあまりないが、滝の眺めは抜群である。
・5P(Clifさんリード)
つるべなら僕のリードの番だが、このピッチは見た目…やばそう(-_-;
そこでClifさんに代わってもらう。
はじめはヤブルート。まもなく姿が見えなくなった。
しばらくして、Clifさんが水線際に現れた。そこからどうするかな〜と見ていると数メートルシャワークライミングに決めたようだ。。濡れてる濡れてる…
その後、かなり悪そう。人工を使っているが結構苦戦しているようだ。
続いて、フォローで取り付く。
はじめは、ヤブと狭い岩の間を力づくで抜けていく。と、なんとやぶの中にランニングシューズが片方落ちているではないか。なぜ??理由は…考えないことにした(^^;
シャワークライミング部分は少し手前から人工を使ってぬれずに突破v(^^)でもこのピッチは結構悪かった。リード譲って正解だぁ
・6P(あいかわリード)
5P終了点のテラスからきれいなクラックが続いており、クラック沿いに、リングボルトが4,5本連打されているのが見える。これが、「弓形クラック」と呼ばれている部分らしい。
クラック技術がもっとあればフリーでもいけるのかな〜という感じだが、今の僕には無理。初のある程度の長さのある人工リードとなった。このあいだの練習の成果が出るか?
残置のリングボルトは、かなり錆びてはっきり言ってやばそう。間隔はあぶみの中段くらいから楽に上のピンに届く程度なのだが、荷重をかけるときは、かなり冷や汗が出た。
まあ、重要なプロテクションはクラックからキャメロットで取っていたんだけどね。
「岩場にかかったはしご、あたかもオアシスのような快適な場所」あぶみに乗ったことがない昔は、そんなふうに思っていた。
しかし実際は足は痛いし、ふらつくし、1秒でも早く普通のフェースに戻りてぇ〜という快適とは程遠いものであった。
あぶみに乗っての作業は本当に苦痛。今の僕でできるのはせいぜい片手でできるキャメの使用。ハーケンを打つのはかなりしんどそうだなあ。
ましてやこの状態でボルトを打つなんて。
人工部分はまもなく終了。そこからヤブを避けて右状して…行き詰る。ルートファインディングヘタすぎだ。
何とか左の小テラスに這い上がり、ホールドのほとんどない状態で縮こまってハーケンを打つ。それに勇気を得て左にトラバース。安全なルートに戻れた。ここは回収が入る分、セカンドのほうが怖かったんじゃないかなあ。Clifさんごめんなさい。
ヤブでロープが流れにくくなりすぎピッチをきる。
・7P(Clifさんリード)
このルートもトラバース気味だが、藪が少なくなって登り易い。潅木をつかみ、岩角にまたがり、どんどん進むと下段目の落ち口を見下ろす絶景の快適なテラスに出た。
すでに12:30。遅い(-_-;
水も手に入るので、ここで大休止、昼食とした。おいしい岩清水を期待して伝ってくる水を飲んだが…ぬるかった。
・8P(あいかわリード)
上段の滝の右側の流れに沿うルートだ。一番楽そうなラインを探してはじめ左上し、流れを横切る。といっても水量はちょろちょろ程度だ。
しかし、濡れた岩には抜群に強い僕のウォーターシューズはこのようなちょろちょろしたぬめりの多いところは苦手なのだ。結構びびる。その後、手か足かどっちかしかしっかり持てない(置けない)ところを意を決してトラバースする。
そこからの快適なフェースをさらに上がっったあたりでロープの流れ悪くなりすぎ、ピッチを切った。
ビレイ点は、クラックを利用してヘックスとアングルハーケンをきめ、おまけにチョックストーンからスリングでとり、これで万全とご満悦。
が登ってきたClifさんが引いたら簡単にとんだ (゜□゜)
・9P(Clifさんリード)
はじめ左上し、張り出した岩を回り込んで行く。この部分すっぱり切れ落ちているのだけど、Clifさんは直前になかなかプロテクションが取れず、苦労しているようだ。何とかハーケンを決め、越えていった。
このピッチ、この張り出した岩で微妙にリードの姿が見えない。長い間ロープが止まったり、何度もハーケンを打つ音が聞こえ、苦労している様子だ。
実際フォローで登ってもルートファインディングと、なかなかのスリルとテクニカルさがあって面白いピッチだった
・10P(あいかわリード)
いよいよ落ち口に近づいてきた。
出だし大岩を乗り越し、飛まつのかかるハング下を左に回りこんで、傾斜がゆるくなるところを登った。そこは上段滝の落ち口が目の前に、東の川とシオカラ谷の渓谷美が眼下に広がるするすばらしい眺めのテラスであった。このピッチはプロテクションも取りやすく、快適なピッチだった。
落ち口までわずかだが、ロープの残りに不安がありここでピッチを切る。
そしてもうひとつの不安、次第に空が曇りゴロゴロとした音が聞こえ始める…
・11P(Clifさんリード)
快適なフェースを登って終了。がっちり握手。
さて、目前には幻の西ノ滝上部ゴルジュが広がっていた。曲がりくねった釜の奥に、チムニー状の中をすごい勢いで落下する滝…
時間も15時をすぎていたので、もともとむりだと思っていたが、見た瞬間「無理!」
釜の周囲の壁をじっくり観察していると釜を渡った右岸に「ここかな」というラインが見える。ここを登るには、釜を泳いで取り付かないとダメだな…
またいつか来よう、そう思いつつ、帰途につくことにした。
が、しかし本当にしんどかったのはここからだったのだ!
さてどうやって帰ろう。地図を見る限り、右岸、左岸ともにはじめのうちは崖マークのゲジゲジ君が続いている。ヤバイのは一緒だ。ならばと、遠くに導かれる右岸より左岸に取り付くことにした。
この登り、ほとんどクライミングじゃないかという急斜面と強烈なヤブが延々と続くのである。
笹薮としっかりした木が豊富なので、まあ落ちることはないだろう、落ちても数メートルで止まりそうだ。
しかし、その傾斜!ヤブと木を剥ぎ取ったら、ただの岩壁なんじゃないか、と思うほどだ。かぶっているところまである(T_T)
おまけに大量のギアと、水を吸った10.5mm×50mロープが詰まったザックはすごい密度。テント泊の60Lザックでももっと軽いだろ!と思うくらいの重量だった。
追い討ちをかけるように、ついに降り出した雨は次第に強くなり、霧で林内は非常に暗く不安を煽る。
こんな登りを1時間半ほどして、ようやく遊歩道に飛び出した。このときの安堵感といったら!
精神的にも体力的にもすっかり消耗し、途中降り出した土砂降りの雨に打たれながら6時過ぎ、何とか駐車場に帰り着いたのだった。
最後に、未熟な僕を信頼してリードを任せてくれたClifさん、ありがとうございました。ちょっぴりスパルタ気味ですが、おかげでここ数回の山行でかなり力をつけさせてもらった気がします。そもそも、僕一人の力では、こんなところ来れませんでしたから。