赤石沢  報告:のーきょー

 入念に準備山行を重ねた上で臨んだ南アの美渓。

 GW山行のあと、今年の夏休み山行の話題になり、南ア赤石沢が候補になった。深い山。沢中2泊しているパーティもある長い沢。いきなりは無理なので、台高の黒石沢(1泊2日)、御嶽の鈴ヶ沢、南紀の八木尾谷(1泊2日)とトレーニングを兼ねて沢登りに行き、練習をした。赤石沢も、発電用に水が取られるようになり、水量が減ったので、以前よりはずっと遡行しやすくなっているというが、どうなんだろうか。

 15日に行き先の最終確認。天気予報によれば、天候は安定しないものの、そう悪くはなさそう。13、14、15日の井川(最寄りのアメダス)の雨量は大したことはなく、たぶん増水もしていないだろう。転進せず、予定どおり赤石沢に行くことになった。

----------------------------------------------------
【日程】2012年8月15日(前泊)〜18日
【山名】南ア・赤石岳
【行程】畑薙ダム〜牛首峠〜赤石沢〜百間洞沢〜百間洞山の家〜赤石岳〜椹島
【メンバー】いるか、Fの、のーきょー
----------------------------------------------------

●15日
 21時、大内ICでいるかさんと集合。Fのさんとは岡崎ICを出たところで集合し、美合PA外のプラットパークにFの車を止め、新東名の新静岡ICで降り、ナビに従い、県道189号経由で畑薙ダムを目指す。が、途中で通行止め。一旦、静岡市街まで戻り、国道362号に乗り直し。大幅にタイムロス。ダムの臨時駐車場に着いたのは4時半すぎで、空がほの明るい。6時過ぎまで仮眠。

●16日
 6時過ぎからマイクロバスが出ていく。遅まきながら起き出して行列に並ぶ。マイクロバスが椹島まで出ているが、乗せてもらうには、山小屋に泊まる必要がある。17日か18日に百間洞に泊まる予定と説明し、切符を購入。


 3台目か4台目のバスに乗れた。単独行で赤石沢に行くといういかにもベテランの沢屋さんと一緒になる。8時に駐車場発、9時前に牛首峠着。遊歩道をたどり、吊り橋を渡ったところで入渓。


 最初からきれいな沢。水量も少な目。水温も思ったほど低くなく、これなら泳げる。天気もいい。楽しい気分で歩ける。


この滝は、泳いで行ってみたが、手掛かりがなく、上陸できなかった。



大きな釜のある滝が続く。



 5mナメ滝。泳いで渡らねばならない。先行している単独行の人はザックをおいてロープを引いて泳ぎわたり、あとでザックを引き寄せていた。


 ナルホド。同じく空身で泳ぎ渡り、ザックと二人を引き寄せた。



 4mCS滝。左岸の残置シュリンゲにぶらさがり通過。



 その後も、小滝や巨岩の乗越が出てくるが、そんなに難しい箇所はない。


 お昼過ぎ、単独行の人が釣りをしているところで出会う。毛針で釣りをしながらのんびり北沢出合あたりまで行く予定とか。さっそく何匹がヒットしているらしい(1匹残しあとはリリースしたので、写真には1匹だけ。)。カンテラ釣り。来年は釣りをマスターして釣り竿を持って遡行したいものだ。


 歩いていても魚影が濃い。椹島まで専用マイクロバスしか入れない。釣り師は入れず、沢登りをする人だけが、赤石沢のヤマメを狙えるということなのだろう。

 12:45 発電所の取水口到着。



 滝は出てくるが、簡単に越えるか巻ける。


 14:00〜15:40 門の滝



 直登している記録もある(京都雪稜)が、登れそうにない(^^;。右岸を高巻き。一段登ったところから、草付まじりの岩壁を登る。いるかさんトップで途中のテラスで短めにピッチを切って3ピッチ。岩がしっかりしており、わりに登りやすい。トラバースにも1ピッチ、ロープを出し、あとは灌木の中をトラバース。小尾根を乗越してからは踏跡を辿って落ち口にクライムダウンできた。ロープを出したので時間はかかったが、ぴったり落ち口に高巻けた。



 洞窟の滝
 この滝の一つ手前にも、巨岩が挟まった滝がある。最初間違えて岩の隙間を見に行ったが、登れそうにない。土砂で穴が埋まったのかと言いながら進むと、本物の洞窟の滝が出てきた。


 短い垂壁。残置シュリンゲに足を入れてA0で岩の隙間を登るが、せまく、足を折り曲げて上げられない。そのままフリクションを頼りにずり上がって抜けた。抜けたところは小さなテラスになっている。残置は縦リスに縦ハーケン。抜けることはないのか?さらに残置シュリンゲが切れるおそれもあるので、残置のRCCボルトにロープを固定。二人目からはアッセンダーで確保しつつ登る。テラスからさらにもう一段登るが、登ってしまってからだと荷揚げができるかどうか分からない。狭いがテラス状になっているので、ここに荷揚げをし、さらにいるかさんトップで上に抜ける。残置ボルト(根元までしっかり入っていた。)に掛けられた残置シュリンゲに足を入れて一歩登ると抜けられる。


 隙間が狭いので、太った人は大変かな。残置シュリンゲが切れないかハラハラした(支点はしっかりしていたので、トップは自分たちのシュリンゲで行った。)。

 ガイド本にあるように、ここが技術的に一番難しく、あとは滝の直登でロープが必要な場面はなく(ここ以外のロープはいずれも高巻き中。)、数メートルの短い滝・岩登りはあったが、すべてフリーで行けた。

 洞窟の滝の向こうにこれが「大ガラン」なのだろうと思うが、大きな崩落箇所がある。先行パーティ(前日にも1パーティ入渓していたようだ。)の足跡をたどって横断。今にも崩れそうな土砂岩の堆積なのであまり気持ちよくない。


 大ガランを越えちょっといった右岸に格好のテントサイトを発見し、ここで泊まることに。早速薪を集め、火をおこす。夕食はうなぎ御飯。うなぎを卵とじにして御飯にかけて食べるという、いるか食当渾身の作品で、非常にうまかった。


前日、あまり寝ていないので早々にダウン。雨もなく、さわやかないい夜だった。


●17日

 天気を心配したが、晴れ間がのぞいている。定番トマトリゾットの朝食。


 7時スタート。さほどの難場もなく、楽しく遡行を続ける。


 沢が折れ曲がり、ゴルジュが現れた。これはどうみても無理でしょう。即、高巻き決定。


 ガイド本どおり、シシボネ沢のすぐ上流のがらがらのルンゼを少し登る。ルンゼから右に出るのだが、ルンゼから灌木の生えているところまでの登りが、あまり良くない。どこを行っても似たり寄ったりだが、比較的傾斜の緩そうな草付を登ることにし、いるかさんトップで空身で1ピッチロープを出して草付を登り、荷揚げ。2ピッチ目はよい支点がなかったらしく、「支点が頼りないから力をかけちゃダメよ。」と言われて行ってみると、極細の灌木と、倒木を支点にしてあった(^^;。おいおい。フリーでもう一段登り、あとは樹木を頼りに踏跡を辿り沢に戻った。踏跡の途中に「沼津かもしか」と書かれたテープがぶらさがっていた。もう少し小さく高巻くのかも知れないが、途中からは通常使われている高巻きルートだったようだ。


 ゴルジュを越えてからは、源流の感じで、水量も減り、淡々と進む。左から小雪渓沢が入る。雪渓が残っている。


百間洞沢に入ったころから雨が降り出す。しかし、源流なのでもはや増水しても問題なし。


 百間洞の大滝は、一枚岩を流れ落ちる赤石沢には珍しい滝らしい滝。左岸を高巻き。登ってから緩傾斜のスラブをフリクションを頼りにトラバースするのだが、万一足を滑らせると河原まで20mは落ちて行きそうな場所。雨で濡れているし、念のためロープを出す。カムを2つ入れて支点を作り確保。例によっているかさんトップで行く。渡ったところに残置ハーケンがあり、ランニングをとる。行ってみたら簡単だったが、単独だとどうするのだろうか。フリーで行くのはかなり怖いと思うが。


 14時に百間洞山の家着。静岡市営の山小屋らしいが、若夫婦(と3歳の子供!)が切り盛りしている。よく考えられた設計の立派な小屋である。


 荷物を干したりしていると、トランス・ジャパン・アルプス・レースの選手達が補給に立ち寄る。NHKの取材も来ていて、乾燥室で選手が補給しているところをインタビューしている。何人かの選手に励ましの言葉をかけることができた。悪天もあったはずだが、北ア、中アを越えて南アのここまで来ている。精悍な横顔が素晴らしい。これから茶臼を越えて太平洋まで走る。夕方から雨が強くなった。雷もなっている。選手達は雨の中、出発していった。がんばれ。



 自前のカレー、海草と豆のサラダ。山の家の夕食(トンカツ定食)も頼んで、二日連続で豪華な夕食。


●18日

 今日も朝はいいお天気。椹島の最終バスが14時、コースタイムが8時間半なので、5時スタート。昨日の残りのカレーを温め直して食べる。うまい。

 濡れた沢装備一式を入れてパッキングするとザックが重い。


 山の家から少し登るとテントサイト。なかなかいいロケーション。



 百間平まで登ると大沢岳、中丸盛山、兎岳、聖岳の稜線が間近に望める。幕営禁止だが、テントを張ったような形跡が。まあ、泊まりたくなるのは分かる場所。親子連れの雷鳥も。展望がきき、槍穂、中アの稜線、富士山も見える。


 2時間ほどで赤石岳。赤石岳避難小屋も営業している。少し行くと眼下に赤い屋根の赤石小屋が見える。さらに2時間で、ようやく赤石小屋。ここもなかなかきれいな小屋である。


花もあちこちに。


 さらに樹林帯を下り、12時すぎに椹島に着いた。


 着いたとたん、雨が落ちてきた。ざるそばとチーズケーキセットで下山祝い。13時のバスに乗れた。

 TJARの選手達が、茶臼岳まで縦走し、林道まで降りてきた。バスの中から応援。

 接阻峡温泉会館で温泉に。300円。源泉掛け流し。ぬるぬるのお湯。簡素ないい温泉だった。夕食は、焼津まで出て、新焼津港にある焼津まぐろ茶屋でまぐろを堪能。東名が渋滞している。三ヶ日ICから渋滞を避けて下道を走り、美合まで。岡崎ICからは渋滞もなく、23時過ぎには帰宅できた。

【後記】
 きれいないい沢でした。釜を泳いで小滝を直登、あるいは巨岩のゴーロが多い。難しい滝登りはなく、クライミング下手でもなんとかなった。天候にも恵まれ、終始楽しく遡行できた。ただ今回は、水量が少なく、平水時よりもかなり楽に遡行できたのだろうと思う。同じメンバーで今夏4回目の沢登り。沢泊も3回目。役割分担もはっきりし、何をやるにもてきぱき。よいチームワークでした。
 


      


ウィンドウを閉じる